『お能の見方』白州正子
私はお能を見に行ったことは一度しかありません。京都の平安神宮の薪能のみです。
もともと、ちくわ笛を吹きたくて能管の師匠に入門したのです。だから、自分の能管のお稽古の先に、お能のお囃子があるなんて感覚は全くなく。
でも、能の深くて不思議な世界には心ひかれるものがあります。それを知らないのももったいない。
そう思ってお囃子のCDと『お能の見方』という白州正子の本をいっしょに購入しました。この本はいわゆる入門書ではないのです。知識や決まりごとを解説していません。白州さんの感性を通したお能の本でした。
どれだけ能に親しんでこられたのか、さまざまな能楽堂での公演や神社でのお祭りで奉納された能舞台の豊富な体験が下敷きとなっているのを感じます。白州さんの感性によって、能舞台の本質がわしづかみされたようで、それを読者もなぞります。数多くの舞台の写真も見ながら読んでいるうち、ちょっとわかった気にさせてくれました。でも本を閉じるとたちまちやはり幽玄の世界は謎に戻ります。
何も知識もなく行って見た薪能を、私がそれなりに楽しんだように、知らなくても美しさを感じるだけでいい、そう白州さんはおっしゃっているのです。
演じる人も、型をなぞっているだけ、中身は何も考えていない。でもその型の所作が美しい。そんなもの、って。
当分、私も白州流で、無理に「勉強」しないで、感じて楽しむことにいたしましょう。
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