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2008.06.04

能「葵上」で舞う鬼は

 「葵上」は、源氏物語の中の一部分を能にしてあります。光源氏の正妻葵上が、光源氏の恋人六条御休所の生霊にとりつかれて病気になり、それを僧侶がお払いするというところ。

 身分も高い六条御休所、美しい装束で登場しますが、所作が怖い。
 一度退散して、再登場すると般若の面に変わっています。薪の炎が映って目がギラリと光るのが恐ろしい。
 高貴な女性が鬼となり、恋敵をかばおうとする僧侶に打ちかかる。
 ここまで取り乱してしまうほど、恋人に執着しているなんて。

 舞台で舞うのは女性の心の中に住む鬼。嫉妬に限らない、自分では抑えられない邪悪なもの。他人ごとではないから哀れとも思えない。
 一番見たくない、でもなにかの拍子に現れそうになる、確実に存在している自分の分身だから。
 
 源氏物語は平安時代という千年前の作品だというのに、
 舞台で表現されるのは現代の女性と変わらない心の深淵です。

 その表現は、美しい装束や面と、限りなくそぎ落とされ簡素化された所作と舞いによるもの。
 (もちろん、謡も必要なんですけど浅学な私には聞いてるだけでは理解できないことが多いです)
 鼓や太鼓、そして笛は、この世ならぬ世界へと誘う調べとなります。
 特に、わが師匠の笛の音には、そんな力を感じます。

 いつもお稽古で習うのは、この能の深い深い世界への
 ほんの入り口なんですね~。

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