京都薪能 平安神宮
京都薪能の第一日目。師匠が出演なさるので平安神宮に行きました。
お天気がよくてとっても気持ちのよい日でした。
開場から30分後、門のとことで昨年ご一緒したHさんとそのお友達と合流。それから席確保。
今回は師匠が見えるようにと、橋掛かりの出口そば、最前列に陣取りました。
出演される方が、ほんの2メートルもないところを通られるので、コーフン。
美しい衣装にうっとり。
最初は「翁」。これは普通じゃない演出だということですが、確かにお囃子の皆さんの衣装も違っていました。ものものしい裃。それを片肌脱いでの演奏。
2番目は「絵馬」。師匠は最初に入場されました!今年は見えるぞ!
と思っているうち、鼓の皆さんが陣取った時点で師匠は頭の上部が見えるのみ。ああー!今年も死角に座ってしまった!
師匠から「中之舞」が演奏されると伺っていたので、シテも誰も見ないで注意して笛だけ聞いていました。しかし、途中までは追っていけたのですが、すぐに「?」。
後から「薪能は省略ばかりで普通に演奏しませんから、今回もヲロシがなかったでしょう」と教えてくださって納得しました。オヒャラの道は遠い……。
「絵馬」に登場するのは、アマテラスオオミカミ、タジカラオノミコト、そしてアマノウズメノミコト。ぱっと見、シンプルで巫女の姿がアマノウズメノミコトだと思い込んでいたのですが、実はこの女性こそがアマテラスオオミカミ。天の岩戸に見立てたボックス(宮)に籠もってしまいます。するとタジカラオノミコトとアマノウズメノミコトがものすごい勢いで舞うのです。早い早い。アマテラスオオミカミ、ボックスの戸をそっと開く。タジカラオノミコトすかさず戸を開け放ち、中からアマテラスオオミカミを引っ張り出す。
アマノウズメノミコトは、後ろ姿、切りそろえた長い黒髪と赤い衣装が、まるで「アジエンス」のシャンプーCMに出てくる映画スターみたいでした(比喩が俗っぽいわ>自分)。
3番目は「杜若(かきつばた)」。高校の教科書でおなじみの在原業平さんのアイウエオ作文にゆかりの演目です(笑)。
「かきつばた」という文字を頭に入れて歌を詠め、という場面ですね。
しかも、地名が八つ橋。ニッキが利いてそう。(つぶあん入りが好きだけどそれは邪道?)
カキツバタの精が、正体を現して優雅な舞を見せるのですが、これがじーっとしてなかなか動かない。
やっぱり、これこそ幽玄の世界なのでしょうか。
そして狂言の「福の神」。これは一度見たことがあります。笑いのツボが昔も現代も人間みな同じなんだなあと思う。
ラストは「正尊」。弁慶、義経、静御前など、歴史上のスターが惜しげもなく殺陣を披露するのでびっくりしました。これも能?「杜若」とはえらい違いで、まるでチャンバラみたい。かがり火に剣がぎらりと光るので手に汗にぎりましたよ。
観阿弥・世阿弥時代から1世紀くらい後の脚本だそうで、観客へのサービス精神がかなり働いているのが感じられました。
それにしても、火入れからは薪のかがり火が燃える中での観能。豪華な衣装と能面が炎のゆらぎで動いて見えるので、どきどきしてしまいます。
夜風は寒くて、用意していた上着だけではまだ足りないくらいでしたが、のど飴を始終なめ続けることでしのぎました。
いまや、舞台の上にしか残っていない日本語、衣装、舞などが、その生まれた時代をそのまま再現してくれる不思議。青竹で囲われた結界に舞い降りるこの世ならぬ者たち。
そんな世界を体全体で感じられるから、平安神宮の京都薪能って大好きです。
師匠ありがとうございました!
舞台の写真は禁止だったので、ありませーん。舞台と反対側に位置する門のみです。
「2009年スクワットと笛」カテゴリの記事
- 久々笛のお稽古(2010.08.28)
- ゆうべは京都薪能一日目(2010.06.02)
- 連休明け(2010.01.12)
- 連休3日目(2010.01.11)
Comments
初めまして「冨田酒造」を愛する一人です。お気に入りは「純米吟醸生原酒」と「80%精米の純米」淡麗辛口なんてどうでもいい派です。
京都も薪能の季節になりました。わが校にも茂山一族の一人が去年まで在籍していたのですが、定年退職されてしまいました。今でも付属小学校では、狂言の講演があり、実際に生で見る機会があってうれしい限りです。たまには日本の古典芸能も幽玄な気持ちになって、楽しく思えるようです。
Posted by: きさとぱぱ | 2009.06.02 12:54 PM
さきとぱぱさん
コメントありがとうございます!
昨夜は観能しながら「こんなすばらしい催しに気軽に行ける滋賀に住んでいるなんて、私って幸せ者」と感じていました。
もちろん京都のほうがもっと近いのですが。
茂山一族の方がお勤めなさっていたら、狂言の世界もまた身近に感じられるでしょうね。子どもたちも、直接狂言が見られる機会を持てて、将来、狂言や能に接することが特別ではなくなるでしょう。
ちなみに、私も能管の師匠とは、地酒BAR膳で出会い、ご縁があって入門したのです
京都ならではですね!
「七本槍」のファンでいらっしゃるのですか!うれしいです。これからも、応援よろしくお願いいたします!
Posted by: あひる@滋賀 | 2009.06.02 06:19 PM