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2010.06.06

『だれでも書けるシナリオ教室』岸川真

いきなり告白。実は、シナリオを書きたいと思っていました。まあ、考えるだけなら簡単ですが、実際に書くのは難しいもの。何もしていないから何も書けていません。

そこへ、この本のタイトルが目に飛び込んできたのです。これは読まなきゃ!

この本は、実際にシナリオを書いているだけでなく小説や映画の監督までこなす岸川さんが、自分のシナリオの書き方のコツを教えてくれています。とても具体的に。

第一講では、シナリオの成立条件を。いわゆるお約束を守ることが必要なのだが、その理由を具体的に説明。これはありがたい。

第二講では、古今東西の名作映画から型を取りだして見せ、その型こそが観客の求めるものだと説く。

第三講では、3日で一本書き上げろ!と自身のシナリオライティングを実況中継。ここまでぶっちゃけていいのか?何故、3日なのか。その理由は、映画の構成が3部になっているものだから。序破急(エヴァ用語ちゃうよ)という日本古来の音楽の構成と同じで、三段階で物語りを構成するのが2時間の映画一本のシナリオを作るのにちょうどよいから、というもの。

第四講では、日本と世界の映画界の現状やテレビドラマのシナリオについてなど。夢と現実が入り交じる。

そして、付録に2011年公開予定のご自身の原作・監督映画「フレッシュ!」の初稿が!

さまざまな細かいテクニックとか、シナリオ作りのヒントなどがあり、どれもメモしたくなってしまうのですが、この本のキモは「自分でも書けるかも」と思えるところ。

この5年ほどの間にプロットを1つか2つ書いてみただけの自分でも、「3日で書いたらシナリオ書けるかもな~」なんて妄想してしまいました。

もちろん、いきなり誰でもおもしろいシナリオが書けるわけないのです。それでも、1本は自分にしか書けないオリジナルのストーリーが書けるはずだと勘違いしてしまう。岸川さんは自分を成功者としての高い位置に置かず、読者と同じ「狂気に取り憑かれた」「創作したくても便秘していた者」として、後輩を導いてくれます。

「背中を押してもらう」ことを期待してこの本を読んだので、もくろみ通りの本でした。あとは実際に書いてみるしかない……。

『だれでも書けるシナリオ教室』岸川真

追記

序破急、といえばすぐに連想したのが『花伝書』でした。世阿弥の能もこの三部構成ではなかったかな?と。
検索してみると、もとは日本の音楽の構成用語だったが、世阿弥は全ての芸能に通じるとしている、とあります。

先日の薪能で見た「舎利(しゃり)」の構成はどうなっているでしょうか?

まず、因幡の国から上京してきた僧が、京都東山のお寺「泉湧寺」にあった舎利を拝みにやってくる→序

そこへ、自称里人がやはり舎利を拝みに来るが、突如鬼に変身して舎利を奪い寺院の天井を破り空へ逃げる→破

僧と寺男が韋駄天に助けを求め、韋駄天は天を駆け巡りその鬼、足疾鬼を見つけ、打ち据え舎利を取り戻す→急

あ、序破急でまとめられます。この「舎利」は、天井を踏み破るとか、韋駄天と足疾鬼が組み合うなど、演出がハデなほうの能です。ハラハラしておもしろい。最後の急の場面では人間は舞台を降りて完全に韋駄天と足疾鬼の一騎打ちとなるので、不要な登場人物はカットしているといえます。

能って演劇の要素きっちり押さえてあるものなんですね。当たり前といえば当たり前かもしれませんが。

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