糸車といえば、何を連想しますか?
私は、まず「眠れる森の美女」でした。生まれた時「19(?)歳の誕生日に糸車の針に指を刺されて眠る」という魔法をかけられた王女は、古い塔の屋根裏部屋に置き忘れられた糸車を見つけ、誤って指を刺してしまう……。
でも王子様のキス
で目をさます、というやつですね
実家に古いディズニーのアニメ絵本があったので、よく覚えています。
それと、イギリスの昔話です。
怠けものの娘は、一日に5枚のパイを食べちゃった。でもお母さんとしては恥ずかしすぎる。そこで「うちの娘は毎日糸車で5かせの糸をつむぐ♪」と替え歌にしました。その母の歌を、通りがかりに聴いた王様が「そんな働き者の娘ならお城に呼んで妃にしたい!」とお城に連れ帰ります。これで王様が娘と結婚して終わればめでたしめでたしのシンデレラストーリーですが、実は娘は怠け者ですから、それからが大変。
王様から小部屋に閉じ込められ、「3日のうちにこれだけの糸をつむげ。さもないと実家に返す(もしかしたら命はない、だったかも)」とノルマを課せられ、自分ではつむぐことができず嘆き悲しんでいる娘のところに、小鬼がやってきます。
「代わりに俺が糸をつむいでやろう。ただし、3日のうちに俺の名前を当てられなかったら、俺の嫁になれ」
王様の妃か、鬼の嫁か……結構究極の選択かも。
とにかく、小鬼が代わりに糸をつむいでくれたので、ほっとする娘。でも、名前がわからないのです。3つの名前を言ってもよい、というルールですが、二日とも当たりません。
三日目、もうあきらめかけていた娘は番兵が話しているのを小耳にはさみます。「ゆうべ、山に行ったら洞窟で小鬼が糸車をぶんぶん回しながらこう歌っていた。俺の名前はトムチットトット、誰も知らないトムチットトットってな」
最後の糸を持ってきた小鬼に、娘は冷静に「あなたの名前はトムチットトット!」と言い、小鬼はぎゃーっと叫んで逃げ去り二度とやってこなくなり、娘は王妃になりました、めでたしめでたし。確か、もう二度と糸をつむぐ仕事しなくていいということになったと覚えています。どうだったかな……?
糸車といえばトムチットトットですね。
なんか、憎めないヤツなんですよ-。トムチットトット。
だいたい、糸をつむぐのが得意というところが鬼にしては働き者だし。いい亭主になりそうだけどなあ。娘に惚れてたからこそ、窮地を救ってやろうとしたのではないでしょうか。その好意をすっぱり切るんだから、年頃の娘って残酷。鬼相手だから当たり前か?
この話って、怠け者の娘でも何が幸運をもたらすかわからないよ、という意味なんでしょうか?それともただ単に名前当てがおもしろいってだけで生き残ってきたのかなあ?
なんにせよ、トムチットトットの名前だけは一生忘れません。
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