白洲正子展へ
滋賀県立近代美術館で開催中の白洲正子展へ行きました。
雨にも関わらず、お客さんは途絶えない。さすがの人気ですわ-。
入り口では、滝の映像が出迎えてくれます。
内容について。白洲正子さんの文章を原稿用紙風のパネルにして、抄を抜き書きし展示。その文章が触れている仏像や仏教美術の実物を側に展示してあるという構成です。
文章を読みつつ、実物を拝見する。これは贅沢!
白洲正子さんの解説付きで見られるのですから。何事にも先達はあらまほしきことなれ、ですね。解説があると無しでは大違い。フツーに並べてあるだけなら、フーン……と通り過ぎるところが、まるで白洲正子の目で見ているみたいなのです。その価値がわかって見ているつもりになれるのです。知識や、経験を持つ人の目を借りられるって、こういうことなんだ、と思いながら展示品を拝見しました。
会場では、音声解説のテープも貸し出しされているのですが、それは借りずに。
すると、仏像なのに、美術工芸品に見えてくるのです。美術展なので、特に意識して宗教的な部分は避けてあるのかもしれません。それにしても、展示してある仏像の美しさには驚きました。
像の輪郭を成す曲線、仏像の顔など、どこか現代的なセンスさえ感じられるのはなぜなのでしょう?
栗東市の金勝寺からの、口をあんぐりを開けて見上げるほどの像、申し訳ありませんが『NARUTO』のキャラとして出て来てもおかしくないと思えるほどでした。
私は仏像の前では手を合わせて拝見しましたが、特に祈るわけではなくて敬意を表する意味の合掌でした。不思議なくらい、拝む対象と思えませんでした。
円空の仏像も多数ありました。心の中で「(いい意味で)仏像界のチェーンソーアート」とつぶやいてしまいました。その中に見覚えのある十一面観音像がありました。何年も前に米原市のある地域で地元の皆さんの手で守られている仏像を見せていただいた、まさにその仏様でした。円空の作品にしては、曲線が優美な印象で、独自の存在感を放つ仏様です。
会場には、隅々まで「美しいもの」が選ばれ、その価値がわかるように展示されていました。会場の外に2カ所ほど、白洲正子さんの仕事をまとめた映像が流れていました。
白洲正子さんってすごいなあ~、なんてむやみに有り難がるのはいやだったので、さっと流して見て、帰りに著書を2冊購入することにしました。
展示を見て、私の住む近江が長年宿してきた宝物について、改めて知りたいと思ったからです。
滋賀県立近代美術館
〒520-2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
TEL 077-543-2111 / FAX 077-543-4220
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