『さよなら、ニルヴァーナ』窪美澄著
うっかり、2日で読んでしまいました。
読み始めると、なかなかやめられなくなる!
あの事件の少年Aと彼に恋する少女と被害者の母と、小説家。四人が一章ずつ交代で一人称で語り、物語が進んでいきます。
全てが実際の事件と同じではなく、フィクションだとわかっていても引き込まれてしまう力強い小説でした。
一つの事件を、さまざまな立場の人になって体験したみたいに、気持ちがひっかき回される。
章が終わって新しい章が始まると「ここはどこ?私は誰?」状態になり、車酔いのような気分になりました。
自分とは別世界だと思っていた少年Aに感情移入した後、愛し子を突然殺されても生きていかなければならない母になって、犯人の少年Aに対して激しく心が揺れ動き。その後、少年Aに恋する少女となり一途な思いに身を焦がす。またその後には小説家をあきらめて実家に戻り、家族からこき使われて苛立つ。それを忘れるくらい少年Aの居場所を突き止めることに夢中になる、というように。
だから、読み終えてもずっと気持ちがうねっています。
読後感は決して絶望ではなく、それでも戦いながら生きていく力をくれます。
タイトルで連想すること。
ニルヴァーナはロックグループの名前らしく本編の中に出てきました。少年Aと同じところに収監されていた少年W、だったかな。彼は「ババァをバタフライナイフで刺しただけ」であり、その犯行中にニルヴァーナを聞いていたと言います。
アニメ「交響詩篇エウレカセブン」の巨大ロボット(LFO)の名前がニルバーシュで、ニルヴァーナからの命名だとか。本来は仏教の言葉で涅槃の境地を意味するそうです。
音楽のほうは知らないからアニメを連想してしまう私なのでした。
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