昨日は仕事が終わったら京都の平安神宮へ。薪能の一日目です。

前売りチケットを師匠から渡していただくタイミングをのがしてしまって、占い姉さんに中継していただくことに。
しかし遅刻してしまったためご迷惑をおかけしてしまいました
すみません。
占い姉さんのおかげで、最前列で観能でき、ほんまに堪能できました!
師匠は最初の「鞍馬天狗」にご登場。野外なので音が散ってしまいますね。
「半蔀(はじとみ)」
蔀(しとみ)とは、上にあげることのできる戸のこと。開き方はスーパーカーのガルウイングドアをイメージしていただけば。
『源氏物語』の夕顔にちなんだ能。夕顔の精の美しいこと!!いつ化け物か鬼に変わるかとハラハラしてましたが、夕顔の君はそういえば、他人を恨み殺すような曲がった根性がない、はかない女なのでした。静かに舞い、そのまま美しく半蔀戸から中に入っておしまい。
ひょうたんや花を巻き付けたトレリス(半蔀をかたどっている)がかわいい。小さなサッカーゴールみたいな感じの舞台装置。
狂言の「六地蔵」、田舎者と京都の小悪党がだまそうとしてうまくゆかずに露見するというもの。おかしい。
「舎利(しゃり)」
田舎からやってきた僧が、京都東山のお寺「泉湧寺」にあった舎利を拝んでいると、自称「里人」というアヤシゲな男が。「舎利を拝む心は同じ」と、僧がお寺の中へと招き入れてやると、突如稲妻が走り里人は様子が変わり、舎利を掴んで天井をバーーーン!とハデに踏み破って空中に逃げ去ってしまいます。
寺男が「お釈迦様が入滅された時、やはり歯を持って逃げた鬼「足疾鬼(そくしつき)」がいたが、その時はお弟子さんの韋駄天(いだてん)さんが捕まえて取り返してくれた」と教えてくれ、すぐに韋駄天に鬼から舎利を取り返すように念じ始めます。僧も協力。
そこから舞台は天上に移り、逃げる「足疾鬼」と追い求める韋駄天だけが舞台で舞います。「足疾鬼」は地上にいた時とは違って真っ赤な髪にハデな金襴緞子の衣装。舎利を愛おしそうに抱いて逃げています。初めて登場した韋駄天はいかにも足が速そうな雰囲気。
手には、まるで「クリーミーマミ」やら「セーラームーン」やらが持っていそうな魔法のステッキ(たぶん剣だと思われます。ステッキとはあひるの脳内イメージ)を持ち、韋駄天は「足疾鬼」を追い詰めます。ついには首根っこをひっつかまえて、ステッキで打ち据えるので、「足疾鬼」は泣く泣く舎利を韋駄天に渡してしまいます。
最後、しおしおと帰って行く「足疾鬼」の背中は泣いていました。
なぜ「足疾鬼」は何千年の間、仏舎利(ブッタの骨のことですが、この能では歯)に執着したんだろう?聖人の骨を持っておくと何かいいことがあるのか?だって、仏教徒なら究極の宝かもしれませんが、単なる足の速い悪い鬼が、どうして舎利をほしがるのか、謎です。振り返って私は何になら、これほど執着できるのだろう?
「足疾鬼(そくしつき)」は、鬼神の総称である「羅刹(らせつ)」の異称だそうです。あ、なーんだ仏教関係の方だったのね。
追記。こんな絵本があることをびぃめ~るスタッフのYさんから聞きました。まさに「舎利」の絵本でした!
『舎利―韋駄天と足疾鬼』
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